吉行淳之介文学館

●所在地:静岡県掛川市 ●所有者:宮城まり子

 

 

 

 

展示室内部

 

 

 

 

 

 

 

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 田市の出羽遊心館で園児たちと茶会をたのしんだという宮城まり子さんが、あの建物は心を安らげる何かがある、和でも洋でもない感覚と共にああした安らぎのある空間を、吉行淳之介文学館に求めたい、そして茶室のある文学館をつくりたいと請われた。

 之介の作品の明快な文体と鋭敏な感性が、何とか館の造形に反映できないものかと考えたが、作品を読んで熟読するような時間がまったくなかった。幸いにも思い起こしたのはパウル・クレーの絵を愛好しておられたことである。クレーが淳之介との造形の接点になった。

 んな過程で何となく原案が出来上がり、基本的に宮城さんの賛同が得られた。機械室と収納庫はRC造であるが、木造部分と同様瓦葺きで、漆喰仕上げとした。展示の方式は宮城さんの要望に従って作製された。第3展示室は展示のみならず多目的な利用に供しうるよう配慮され、南側の風景を楽しめるよう、谷の竹林の修景も行われている。淳之介が茶の湯をどう考えていたかわからないが、宮城さんの話から想像する限り、型に嵌った茶室を期待する人ではなさそうに思えた。規模は施設全体のバランスから12坪程度が限度である。小間と広間を併設することは許されない、そこで小間と広間を一続きにして、色々な使い方の出来るような間取りを考えたのである。間近に迫る山と主屋の佇まいの中で、存在感を余り主張しない茶室であって茶室らしい姿を形づくることをめざした仕事である。

 

竣工年 平成11年

施工者 株式会社 福清商店